2009年10月29日

仕様決定

前に取材してから方向性の検討を行い「連続で音が鳴らない自転車のベル」を製作することに決定しました。
これは街中を歩いて観察したり、友人と話をする中で

「ベルの音(サイン音)は鳴っている音が十分に鳴りきる前に次の音が鳴ることが連続することで必要以上に不快感を感じる」
のではないかと思ったからです。

ベルの種類も様々ですがつける自転車も様々なのでそのあたりもよく検討して製作したいです。


また大前提となっている「警告音に対する必要以上な不快感」という意識が皆さんにあるかということも重要です。(知人に聞いたレベルでは同感がほとんどでしたが)
思うに年齢なども関係あると思います。


ここからはトライアンドエラーの作業に入ってゆくのでまずはプロトタイプの完成に向けてがんばってゆきたいです。

2009年10月5日

ぷち取材

またまた連続投稿失礼します。


今までの取材で音は人間の感覚が善し悪しを判断するものなのでアンケートや実験などが大事であると感じていました。そこで心理学専攻の友人(東大の院への進学が決まっている有力者!)に音の善し悪しを本人の感じたままのデータを取るにはどのような方法が良いか聞いてみました。

統計的に妥当性、信頼性のあるデータを集める為のアンケートを作るのは少々骨が折れるそうな。色々検討した所その音を自然に聞かせその自然な反応を観察するのが良いのではという事になりました。
もし自転車のベルなら街中を協力者に走ってもらい、通りすがりの人にベルを鳴らし、その反応を気付かれない様に私が観察し、記録するという事になるのでしょうか。おもしろそうです。


ついでに私の研究に関して色々雑談した所「研究としては上手くってもいかなくても面白い、ただやり方難しくて誰も挑戦してなかったのかもよw」とのお言葉を頂きましたw


この時思ったのですが総合大学として様々な学内の専門家や専攻の友人などの力をかりる事は他の美術系の大学には無い強みの一つではないかと思い、今後も機会があったら友人等に話をしてみようかと思いました。

取材その3

更新が滞っていたので連続で投稿失礼します。

同じく九月の後半
今回はサウンドデザイン研究の一任者ともいうべき大学教授の研究室へお話を伺いました。


今回私が聞きたかった事はこの研究に関して専門的な知識がどの程度必要なのかという事と研究の独自性、最近のサウンドデザイン界の動向等についてです。


まず私の研究については
「研究として成り立たせる事は十分に可能、しかし実際に製品を製作するとなると困難」
とのこと。
電子音ではなく機構により音を発する場合、実際に形状から音を予想して制作を行うには高度に専門的な知識が必要であり今から自力で行うことは不可能だそうな。
製品の音をコントロールするよりはサイン音を作り出す方が容易であるようです。


研究の独自性に関しては
「難しいテーマだが今まで同じ研究をしている人は知らず、面白い」
とのこと。ただしサイン音、特に警告音とは何なのかをもう一度考える必要があるのではないかとご指摘いただいた。
また話の中で自転車のベルの音は既に不快感の少ない警告音の部類なのではと思うと言われ、はっとしました。


現在のサウンドデザイン界の動向については、前の取材でも聞いたとおり電気自動車をはじめとする「電子化により消滅した本来機構が発していた音」にかんする問題、ユニバーサルデザインの流れを受けてサウンドデザイン界もその問題に着手しているようです。



色々と参考になったのですが今回は自分の至らなさを痛感した取材でした。
もっと完成系を明確にするべく計画の見直しや練りなおりが必要と感じました。

検討の結果によっては今後もしかすると自転車のベルでは無くなるかもしれないと感じました。


今回も詳しくは報告書に記載します。

取材その2

更新遅れてしまいました。

九月の後半にインダストリアルサウンドデザイン(ISD)の普及に努めていらっしゃる方にお話を伺って来ました。
その方はヤマハ発動機で長くエンジンの騒音の改善をおこなっており、その流れから今は会社を興しISDをおこなっているとのこと。

具体的にISDとは何をするのかと訊いてみました。
まず音の情報が商品のイメージの重要なファクターとなった現在の工業製品の開発現場ではどのような音がより商品のイメージを上げるのか、どのようにその音を出すのかが試行錯誤されています。しかし音というものはイメージの共有が難しく開発の上流行程では上手く統一がはかれていないそうです。そこで開発チームが早い段階で完成品の音を共有できる様にすることがISDで大事だと仰っていました。
しかしその為のツールも人材も不足、また人間の感覚の問題なのでまだまだ問題はたくさんあるようです。


現在最もISDに力を入れている業界の一つが自動車業界だそうです
自動車は趣味性の強いプロダクトであり大きな買い物なので、ドアの開閉音からエンジン音まで心地よい音、ブランドのイメージとしての音(ブランドサウンド)が考慮されていないとユーザーは気に入ってくれないそうです。

今電気自動車の走行音の問題があるのですが、どうやら世界で統一基準にする方向らしく政府も日本がイニチアシブを取るべく躍起になっているそうな。


他にもサイン音の話や欧州と日本の音に関する意識の違いなど面白い話を聞く事ができました。(制作遅れていますが詳しくは報告書に記載します)


今回の大切だと感じたのは

「音は価値を高めるもので弱点を隠すものではない」

という一言です。

今後制作するなかで大きな指針となると思いました。